今年の米国臨床腫瘍学会 (ASCO2021) で発表された局所進行膵癌 UR(切除不能) に対する mFOLFIRINOX vs GEM+nab-PTX のランダム化第Ⅱ相試験 (JCOG1407試験) の結果です。
切除不能な局所進行膵癌を対象とした国内で初めての mFOLFIRINOX vs GEM+nab-PTXのランダム化試験ですが、第2相試験ですので、どちらが優れているかは明確には言えない試験デザインです。しかしながら、日々の臨床におけるクリニカル・クエスチョンの参考になる意義のある試験だと考えます。
URの中央判定や、奏功例に対するResectability (切除可能かどうか) の評価、Conversion (切除への転向) 割合のデータが開示されていないなど、エキスパート外科医、画像診断に要する放射線科医も含めた多職種連携試験ではないので、いわゆる薬物のパワーだけをみた腫瘍内科医だけによるコンサバ試験というバイアスがあります。一方で、奏功割合や腫瘍マーカーCA19-9 の反応比較などのデータは参考になります。
追跡期間が1年ほどで、切除の介入次第では生存曲線も変わってくるはずですが、この結果を日常診療にどのように外挿していくのか、第2相試験ではありますが、いろいろと考えさせられる前向き試験結果だといえます。
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